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髙橋信也 1974年生まれ。2007年、前職の板金塗装工を退職後、地域づくりを行うNPO法人地域生活支援ネットワークサロンへ就職。コミュニティハウス冬月荘の立ち上げ、子どもの学習支援や社会的居場所事業、総合相談事業に関わる。現在代表理事。2012年、電話相談事業に従事する傍ら、暮らしの共済サービス事業せっせを立ち上げ、地域の高齢者に支えられながら、若者や親方と奮闘中。一般社団法人北海道セーフティネット協議会事務局長
高齢化率30%を超える北海道釧路市の東部地区。多くの高齢者が雪かきや草刈、掃除や買い物など様々な困りごとを抱えながら不安と我慢を感じながら暮らしています。一方私たちは、養育困難の状態にある家庭に育ち、自立するための機会や基盤を奪われてきた若者たちのサポートを行いながら、彼らが活躍できる新たな仕事ができないだろうか?と考えていました。 いくつかの出会いも重なり「若者の仕事づくりと高齢者の様々な生活支援のコラボ事業」として平成25年6月、暮らしの共済サービス事業『せっせ』を立ち上げました。自立を目指す若者と高齢者や障がいがあるひとが支え合い、「困った時に誰かの顔が浮かび解決につながる地域」の実現を目指しています。 せっせとは? ・若者と親方6名体制で若者の担い手が高齢者や障がいを持っている方へ生活支援をしています。 ・ヘルパーでは行う事ができない草刈りや窓拭き、雪かき、買い物代行、見守りなどを行っています。 ・特に雪かきに関しては、緊急性がある(人工透析などの通院)ものを最優先に行きます。 ・善意でお借りした一軒家を拠点に、若者とボランティアの方、親方が作業へ出かけたり、ご飯を食べたり、交流をしています。 ・地域の支え合いのあり方を提案しています。 ・便利屋業をきっかけに、孤立しない様につながりを創っています。 せっせを支える親方と若者たち 普段の様子は、一緒にご飯を食べたり、しゃべったり、作業を教えたり、叱咤したり。 日々賑やかであり、時には作業でバタバタ。親方は仕事だけではなく、若者の様子が心配だと、話を聞くこともしばしば。時には親方、時には仲間のようです。 以下は若者の声です。 「自信はないし、ゆっくりだけどできることは増えてきました。」 「初めて仲間と思えるようになってきたかな。」 「俺がいなきゃせっせは成り立たない。」 「ありがとうって言われることが嬉しいです。」 「業者じゃない便利屋みたいだ。現実知ったら断れないし。」 「自分がいていい場所だし、色々経験できていいです。」 孤立する高齢者と限界住宅地 高齢化率が50%を超える地域も存在する釧路市東部地区。住宅は建ち並ぶけれど、住民がいない。いても同じ高齢者で支え合うことは難しい。そんな地域が多く、年々困った時に「顔が浮かばずに市役所や地域包括支援センターへ相談する」ことが増えている様です。「去年できていたことが今年はできなくなった」という声も頻繁に聞かれています。 ”ちょっとした困りごとの解決から始まるつながり創り” ”暮らしの困りごとが創るセーフティネット” 今後、地域は誰が支えて行くのか?釧路市東部地区での若者との支え合いはひとつのモデル提案でもあります。 ゴミ箱を直しながらおばあちゃんと会話しています。 病気で敷地の草刈が出来なくなった高齢者から依頼がきました。若者が奮闘中。 雪が降ると電話が殺到します。特に雪によって通院に影響が出る高齢者宅を優先に雪かきを行っています。 せっせを拠点にした茶話会 月に一回程度、若者や親方、ボランティア、地域包括支援センターの職員、せっせ愛用のおばあちゃんが集まり料理を作って楽しく茶話会が始まっています。担い手と高齢者が違う場面で触れ合う機会になります。 若者が作ったテーブルで昼食 様々なご協力が必要です 孤立する高齢者の中には非課税世帯の方も少なくありません。困った時に業者を頼みたいけれど、経済的に難しいという方を対象として、せっせは安価にサービスを提供しています。また、若者の仕事が少なくなる冬期間は、親方指導のもと、木工製品の製品化に向けて、家具の試作を始めています。 高齢者を支え合い、木工家具の作成等せっせの事業から若者が得るものとして報酬はまだわずかですが、 「自信」や「意欲」や「手ごたえ」も重要です。若者が少しでも自分の役割を見つけ、地域を支える担い手に成長するよう、皆さんの支援が必要です。