明治維新で活躍し北海道開拓にも貢献した榎本武揚が、小樽高等商業学校(現:小樽商科大学)の創設にも寄与していたことが近年明らかになってきました。
また、幕末にオランダ留学の経験がある榎本は、文系だけでなく理系の諸分野にも明るく、五稜郭の戦い後の獄中時代には化学者的側面から「石鹸製造法」を書き残しています。
これらを踏まえて小樽商科大学では、 2021年度に「榎本石鹸プロジェクト」が発足し、歴史学と化学による文理融合研究により榎本が書き残したレシピからその石鹸の復刻に成功しました。
さらに、地元の石鹸メーカーSAVON de SIESTAの協力を得て、榎本石鹸のリニューアル版を開発しました。このプロジェクトは、小樽商科大学が開学以来大切にしてきた「実学重視」の伝統を考える取り組みであり、産学連携によって地域活性化にも貢献しています。
今回のクラウドファンディングでは、復刻版石鹸に加え、現代風にリニューアルした敏感肌用石鹸、さらには榎本が好んだ牡丹の香り付き石鹸の3種をお届けします。
榎本武揚の功績や小樽商科大学の取り組みを広く知っていただけることを願っています。
皆様の温かいご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。
榎本武揚と言えば、幕末の五稜郭の戦いのエピソードで有名です。
しかし、降伏後、その多才な才能を買われ、明治政府に抜擢され、旧幕臣ながら北海道開拓使をはじめ、外交官や大臣を歴任し、殖産興業はじめ日本の近代国家建設に貢献した後半生の功績はあまり知られていません。
さらに、実は、榎本武揚は、小樽商科大学と深い関りがあります。
遡ること7年前の2018年。
当時、小樽商科大学の歴史学担当だった醍醐龍馬准教授(現:大阪大学)は、前身の小樽高等商業学校(以下、小樽高商)を誘致する際、地元の名士だった榎本が、寄付活動を先導していることを発見しました。これを出発点に、榎本と小樽商科大学の関係に着目。それと同時に、榎本が幕末期にオランダに留学して化学を学び、箱館戦争後の獄中時代に石鹸製造法という古文書を執筆していた事実と、かつて小樽高商に存在した石鹸作りの伝統も想起し、この古文書を解読し、当時のレシピから明治時代の石鹸を復刻することを思いつきました。
発見された寄附者名簿「高等商業学校創立費寄附関係書類」1907年(市立小樽図書館所蔵)
古文書「石鹸製造法」(「榎本武揚関係文書」国立国会図書館憲政資料室所蔵)
そして、化学の沼田ゆかり教授に、榎本の石鹸製造法から石鹸の復元を相談し、両者のゼミ間で2021年度から文理融合研究「榎本石鹸プロジェクト」として取り組みがスタートしました。
このプロジェクトでは、歴史学と化学の知識を合わせて古文書を読み解いた上で、その年度末には石鹸の復刻に成功しました。
また、倫理学の宮田賢人准教授には、本学のような地域密着型大学における文理融合研究の成果を発信するため、開学の理念(教育倫理・商業倫理)の延長線上に本プロジェクトを意義づけるという役割を担ってもらいました。
学生たちによる復刻石鹸製造における実験の様子
小樽高商時代には、「企業実践」という科目の中で学内に設置された石鹸工場において「高商石鹸」を製造し、販売していた伝統があります。
小樽高商時代に製造していた当時の石鹸写真
2022年度には復刻したレシピのなかの「冷製石鹸ノ製法」に着目し、復刻版として商品化を目指すことにしました。「冷製石鹸ノ製法」とは、現在のコールドプロセス製法にあたり、古文書には「化粧に使う石鹸または医薬に役立てる石鹸」の製法として記載されています。
2022年度に製造した試作品
さらに、復刻版をもとに現代風にリニューアルした敏感肌を開発しました。2023年度には、SAVON de SIESTAの協力により復刻版、敏感肌に加え、榎本が好きだった牡丹の香り付き石鹸も製品化し、小樽市内の小樽百貨UNGA↑(うんがぷらす)でテスト販売を行いました。
2024年2月のテスト販売の様子
商学や知的財産法など様々な関連分野の教員が協力に入り、地元企業の協力も得た産学連携により、一致団結しながら商品化を進めています。
小樽商科大学の開学理念として、
「実学重視があったこと、その一環として高商石鹸作りの伝統に見られるような文理融合の気風があったこと」
このような点に関しては、文系単科大学のイメージに隠れて世間に認知されていません。また、小樽商科大学ゆかりの人物といえば、OBの小林多喜二と伊藤整の二人に収斂しており、2018年にせっかく発見した榎本武揚との関係は十分に広まっていないのが現状です。そもそも、榎本が化学者であったことはほとんど知られていません。そして、小樽と榎本の関係も、市内ではある程度知られてきていますが、小樽外にまでは伝わりきっていません。
そこで、この榎本石鹸クラウドファンディングを通して、本学の取り組みや「榎本石鹸」、榎本武揚と本学の関係性も広く知ってもらうきっかけになれば幸いです。
2023年3月に開催した「榎本石鹸」シンポジウムの様子
(写真:左から宮田賢人、醍醐龍馬、沼田ゆかり)
沼田ゆかり(プロジェクト代表者)
小樽商科大学商学部一般教育系教授
1977年北海道生まれ。1999年北海道大学工学部応用化学科卒業。2004年北海道大学大学院工学研究科博士後期課程修了、博士(工学)。専門は高分子材料、高分子化学
2021年度から醍醐先生との共同研究として始まったプロジェクトは、今年度で4年目となりました。化学の知識を用いた殖産興業や起業に関心を示していた榎本の石鹸を学術的な成果(論文)のみで終わらすのは惜しく、「復刻した石鹸を商品化したい」と宣言した2022年度当初、「1回製造することは出来ても、商品化は厳しいだろう」というのが周囲の反応でした。そのような中、我々の熱意に共感し、すばらしい商品を製造してくださったSAVON de SIESTA様、そして、昨年度テスト販売にご協力いただいたうんがぷらす様をはじめ、学内外の多く方々のご協力・ご支援によりこのたびクラウドファンディングの実施に至りました。
クラウドファンディングを通して小樽商科大学や小樽、榎本武揚に興味を持つ人が増えることを願っております。
醍醐龍馬(プロジェクト構成員)
大阪大学大学院法学研究科准教授(元小樽商科大学商学部一般教育系准教授)
1988年大阪府生まれ。2012年大阪大学法学部卒業。2017年大阪大学大学院法学研究科博士後期課程修了、博士(法学)。専門は日本政治外交史、日露関係史。小樽市文化財審議会委員。
大学生の頃から榎本武揚の研究に取り組み、早くも15年近くになろうとしています。2018年に小樽商科大学に赴任した際、前身である小樽高等商業学校誘致の寄付者名簿に榎本の名前を発見したときの感動は、今でも忘れられません。小樽商大の関係者と言えばOBの小林多喜二と伊藤整が著名ですが、三人目の歴史人物として榎本が加わった瞬間でした。
これを出発点に、沼田先生の協力を得て文理融合研究に取り組み、榎本という明治維新が生んだ「万能人」の化学者的側面の解明を目指したのでした。
今では、宮田先生をはじめ、関連諸分野の先生、そして職員の皆様、さらに地域の関連企業の皆様をはじめ、他にも多くの応援を得ながら榎本石鹸の商品化に向かっています。北海道開拓の立役者である榎本、そして地域活性に尽力する小樽商大への皆様の応援を是非よろしくお願いします。
宮田賢人(プロジェクト構成員)
小樽商科大学商学部一般教育系准教授
1991年愛媛県生まれ。2014年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2020年大阪大学大学院法学研究科博士後期課程修了、博士(法学)。超域イノベーション博士課程プログラム修了。専門は法哲学。小樽商科大学では哲学・倫理学を担当。
大学院のとき、「超域イノベーション博士課程プログラム」という文理融合型の5年制の教育プログラムに参加していました。そのプログラムでは、さまざまな文理融合の事例を勉強したり、現代社会におけるその必要性・可能性を考察したりしたのですが、この榎本石鹸プロジェクトほど見事に「文」(歴史学)と「理」(化学)とが有機的に結びついている事例を私は知りません。
榎本石鹸プロジェクトは、地方大学における産学連携の一事例としてのみならず、文理融合型の教育・研究実践のモデルケースとしても、全国的に注目に値するものだと感じています。そうした点もふまえ、皆様からのご支援を賜ることができましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
今年度は「榎本石鹸」3種(各80g)をもとに、より広く手に取ってもらいやすいミニサイズの石鹸(各10g)と80g石鹸3個セットのギフトボックスを開発しました。
榎本武揚が記した古文書「石鹸製造法」をもとに再現した石鹸 -榎本石鹸(復刻版)-
◆榎本石鹸(復刻版)
全成分:アーモンド油、水、水酸化Na、トコフェロール
標準重量:80g
アーモンドの種子から採れるアーモンドオイルは、ビタミンなどの栄養を豊富に含んだオイルです。肌に水分や栄養分を閉じ込め、肌をやわらかくするエモリエント効果に優れています。
そのアーモンドオイルでできた石鹸は、上品な泡立ちで、使用感は軽く、肌を清浄にしながらやさしく洗い上げます。
榎本は「冷製石鹸ノ製法」の原料油脂は「スーテアマンドル油」を用いると記しています。「スーテアマンドル油」はオランダ語でZoete amandelolie、「スイートアーモンド油」のことを指します。
敏感肌の方にも使いやすい無香料の石鹸 -榎本石鹸(敏感肌)-
◆榎本石鹸(敏感肌)
全成分:ヤシ油、水、パーム油、オリーブ果実油、水酸化Na、アーモンド油、ヒマシ油
標準重量:80g
肌の水分や油分のバランスを整えるオリーブオイルを配合し、皮脂汚れは落としながらもしっとり潤いを保ちます。ビタミン豊富なアーモンドオイルも加えることで、肌を保護しながらやさしく洗い上げます。敏感肌の方にも使いやすい石鹸です。
榎本武揚が好きだった牡丹の花をイメージした石鹸 -◆榎本石鹸(牡丹の香)-
◆榎本石鹸(牡丹の香)
全成分:水、ヤシ油、パーム油、オリーブ果実油、水酸化Na、シア脂、アーモンド油、ヒマシ油、コメ発酵液、オレンジ果皮油、ニオイテンジクアオイ油、ダマスクバラ花油、イランイラン花油、ビャクダン油
標準重量:80g
ビタミン豊富なアーモンドオイルと、保湿が高く乾燥から肌を守るシアバターを配合した、しっとりした洗い上がりの石鹸です。アフリカの万能薬と呼ばれるシアバターは、人の皮脂にも含まれるオレイン酸を豊富に含むため、肌なじみが良くハリを与えます。
さらに、キメを整え保湿に良いとされる日本酒(小樽・田中酒造)も加えました。
牡丹の花をイメージして、希少なローズの精油やゼラニウム精油で香りづけ。華やかで優しい香りが泡立たせるたびに広がります。
令和6年9月 ミニサイズ石鹸・ギフトボックスの開発
令和6年10月 クラウドファンディングの告知、PR活動実施
・本学HP、SNSや緑丘会への告知
・SAVON de SIESTA顧客への告知
令和6年11月 クラウドファンディングの実施(11/1~11/30の1か月間)
令和6年12月 商品用カタログの制作
令和7年2月下旬 石鹸の完成
令和7年3月上旬 石鹸(リターン)の発送
令和7年4月以降商品発売
ミニ石鹸・ギフトボックスの開発費、石鹸の製作費、リターン発送費、商品用カタログ製作費として使用します。
箱館戦争のイメージが強い榎本武揚が、北海道開拓とくに小樽の街を作ったこと、そして小樽高等商業学校の創設に関わったことを伝えたい。榎本がいなかったら、今の小樽も、そして小樽高等商業学校もなかったかもしれない。そして、小樽商科大学としては、かつて小樽高等商業学校時代に実施されていたものの既にそのレシピが失われている高商石鹸作りの伝統を、榎本石鹸という新たな形で復活させたいという希望があります。
最終的には、地方大学における文理融合によるアカデミズムの成果として社会に還元するモデルケースを目指し、大学発の商品として発売し小樽のお土産として定着させたいです。小樽はもちろん、榎本関係の道内の各都市や、新千歳空港の売店にも並べ道外のお客さんにも榎本や小樽そして小樽商科大学の魅力を広く知ってもらうきっかけにしたい。
180,000円 石鹸3個セット 25箱分
90,000円 石鹸3個セット 12箱分
50,000円 石鹸3個セット 6箱分
9,000円 石鹸3個セット(早期特典:論文別刷り(限定100口))
6,000円 醍醐先生小樽街歩きツアー、限定8口
5,000円 小樽商科大学ツアー(附属図書館展示室+化学実験室石鹸復刻実演など)、限定10口
3,000円 石鹸1個
2,000円 ミニ石鹸3個セット
1,000円 ミニ石鹸1個
10,000円 お礼メール(1口10,000円で口数制限なし)
1,000円 お礼メール(1口1,000円で口数制限なし)
2025年3月発送の石鹸は3個セット、単品合計でレギュラーサイズ各285個、ミニサイズ各570個までのお申込み分となります。
レギュラーサイズ各286個、プチサイズ各571個以降のお申込み分は2025年4月発送予定です。
小樽商科大学は1911年に我が国第5番目の官立高等商業学校として開校しました。その後、名称は小樽経済専門学校、小樽商科大学と変わりましたが、その伝統は100年以上にわたり受け継がれてきました。2004年には国立大学の法人化により、国立大学法人小樽商科大学となり、2022年4月には帯広畜産大学、北見工業大学と経営統合し、国立大学法人北海道国立大学機構 小樽商科大学となりました。
開校以来本学は「実学・語学・品格」を教育のモットーとし、小林多喜二や伊藤整といった作家を輩出してきました。教育面ではアクティブラーニングなどの手法を積極的に取り入れ、学生が受け身ではなく、自ら主体的に参加する学修を他大学に先駆けて進めてきました。また、地域の課題に応えるため、研究機能の強化も進めており、産学官との連携による研究もこの中に含まれます。特に北海道は人口減少が加速しており、札幌への一極集中や地方経済の疲弊が進んでいます。本学はこれらの課題を解決するため、地域のシンクタンクとしての役割を充実させていきたいと思います。
本学ホームページアドレス↓↓
https://www.otaru-uc.ac.jp
9,000円
石鹸3個セット 1箱
3個セットの石鹸ギフトボックス入りを1箱お届けします。
贈答用にもおすすめです。
小樽商科大学で受け取り希望の場合は、応援メッセージに「商大で受け取り希望」と記載してください。
早期特典:論文別刷り※1部(限定100口)
※プロジェクトの出発点となった文理融合研究の学術論文
醍醐龍馬、沼田ゆかり「榎本武揚の化学者的特性―石鹸製造への関心を中心に―」『化学史研究』第51巻・第3号(2024)、pp.121-142
3,000円
榎本石鹸復刻版 1個
忠実に再現した復刻版の石鹸を1個お届けします。
復刻版(単品)のみ貼箱入りです。
小樽商科大学で受け取り希望の場合は、応援メッセージに「商大で受け取り希望」と記載してください。
3,000円
榎本石鹸敏感肌 1個
復刻版を現代風にリニューアルした敏感肌を1個お届けします。
小樽商科大学で受け取り希望の場合は、応援メッセージに「商大で受け取り希望」と記載してください。
3,000円
榎本石鹸牡丹の香 1個
敏感肌をベースに榎本の好きだった牡丹の香りを加え、よりしっとりした洗いあがりにした牡丹の香を1個お届けします。
小樽商科大学で受け取り希望の場合は、応援メッセージに「商大で受け取り希望」と記載してください。
5,000円
残り10口小樽商科大学ツアー(2024年12月19日午後開催)参加権
限定10口
宮田先生による小樽商科大学附属図書館展示室説明、沼田先生とゼミ生による化学実験室での石鹸復刻実演、講義室・ゼミ室・自然科学実験室案内など
小樽商科大学は1911年に我が国第5番目の官立高等商業学校として開校しました。その後、名称は小樽経済専門学校、小樽商科大学と変わりましたが、その伝統は100年以上にわたり受け継がれてきました。2004年には国立大学の法人化により、国立大学法人小樽商科大学となり、2022年4月には帯広畜産大学、北見工業大学と経営統合し、国立大学法人北海道国立大学機構 小樽商科大学となりました。 開校以来本学は「実学・語学・品格」を教育のモットーとし、小林多喜二や伊藤整といった作家を輩出してきました。教育面ではアクティブラーニングなどの手法を積極的に取り入れ、学生が受け身ではなく、自ら主体的に参加する学修を他大学に先駆けて進めてきました。また、地域の課題に応えるため、研究機能の強化も進めており、産学官との連携による研究もこの中に含まれます。特に北海道は人口減少が加速しており、札幌への一極集中や地方経済の疲弊が進んでいます。本学はこれらの課題を解決するため、地域のシンクタンクとしての役割を充実させていきたいと思います。
2024/11/01に募集を開始しました。
2024/12/01 00:00:00に支援募集を終了します。
目標金額に達しない場合もプロジェクトは成立し、支援金額が引き落とされ、リターンも履行されます。